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万年筆雑学
万年筆の開発史
1809年、イギリスのフレデリック・バーソロミュー・フォルシュが、ペン軸にインクを貯蔵するペンを発明し、特許を取得したのが最初。同年、イギリスのジョセフ・ブラマも同様の特許を取得しており、この頃から「fountain pen」(英語で泉のペンの意)と呼ばれるようになった。
1883年、アメリカの保険外交員ルイス・エドソン・ウォーターマンが毛細管現象を応用した万年筆を発明[1]。現在の万年筆の基礎となった。
日本では江戸時代以前「御懐中筆」の名で万年筆の前身らしきものが既に発明されていたという。
万年筆が日本に入ってきたのは、1884年、横浜のバンダイン商会が輸入したのが始まり。
東京日本橋の丸善などで販売された。
当時は「針先泉筆」と呼ばれており、「萬年筆」と命名したのは、1884年に日本初の国産万年筆を模作した大野徳三郎と言われている。
なお、丸善の当時の販売担当の金沢万吉の名にちなみ、「万さんの筆=“万年筆”」と名付けられたという説もある。
ただし仮説である為実際の名前の由来は解かっていない。[要出典]
カートリッジ式の万年筆を発明したのは、阪田製作所(後のセーラー万年筆)の阪田久五郎と言われている。
阪田は1954年にカートリッジ式万年筆の特許を取得しているが、同社が実際にカートリッジ式万年筆を初めて発売したのは1958年のことであり、1957年にカートリッジ式万年筆(オネスト60)を発売したプラチナ萬年筆に遅れをとっている。
戦前には日本の万年筆製造は盛んで、1940年には世界生産量の半数を日本で生産していた。
万年筆の文化史
万年筆はペンとともに1960年代頃まで、手紙やはがき、公文書など改ざん不能[2]な文書を書くための筆記具として主流であったが、徐々にボールペンに取って代わられ、1970年代に公文書へのボールペンの使用が可能になり、また書き味に癖がなく安価な低筆圧筆記具である水性ボールペンが開発されたことにより、万年筆は事務用・実用筆記具としてはあまり利用されなくなっている。
役所によってはサインペンと同等と看做されて使用禁止にされているところもある。
しかし、近時万年筆の希少性・独自性が見直され、趣味の高級文具として復権の兆しが見られてる。
また、万年筆のデザイン性、希少性に着目し、コレクターズアイテムとしても注目されている。
このため、万年筆を扱った書籍や雑誌が刊行されるようになっている。
筆記具としての特徴
長所
構造上低筆圧で筆記可能である。
万年筆の名の通り、半永久的と言える程長期に渡って使用する事が出来る。
使用するうちに使用者の癖に応じてペン先の形状などが変化し、使用者に合った書き心地(いわゆる「馴染む」状態)になる。
万一ペン先が曲がるなどして使用不能になった場合でもある程度修理が可能である。
構造上独特の筆跡を表現できる。
短所
ペン先が常時空気に触れているため、乾燥に弱い。
温度や気圧の変動、衝撃や振動に弱いためしばしば不慮のインク洩れ・インク飛散事故を起こす。
ペン先の構造上、にじみや引っかかりが起こりやすく、粗悪な用紙に弱い。
頻繁なインク補充・ペン先の手入れ等、取り扱いが少々面倒である。
使用者の癖が付き、更に粗雑な取り扱いや衝撃に弱いため貸し借りや共用に不向きである。
構造上手作業の工程があったりと製造に手間がかかるため同一メーカーの、同一モデルのボールペンや、シャープペンシルに比べると高価である。
近年は、安価でメンテナンスを廃した使い捨てタイプの万年筆や、安価であってもカートリッジの交換が出来るものが製造販売されている。
現在では従来の欠点を克服・解消している万年筆も多く存在し、また字の発色に濃淡が生まれ独特の風合いをもった筆跡が生まれることや物珍しさから一時期に比べ使用者が増え、復権を果たしてきたと見る傾向もある。
一時期は弛廃した筆記具ではあるが上記の理由から一部では万年筆を尊ぶ風習も残っている。
古くから使用されてきた筆記具であり、高価なイメージや正式なイメージを持たれることから契約書・履歴書等の重要書類にサインする際万年筆を使用することが推奨される場合もある。
インクの補充方式
万年筆はインクを充填する方式により大きく2通りに分けられる。
ひとつは、ビンに入ったインクを吸入する方式、もうひとつはカートリッジにつめられて小分けされた状態で流通しているインクをつかい、ペン軸内にカートリッジをセットして使用する方式である。
吸入式
ペン軸内にインクを吸入するための機構が内蔵されているものを吸入式と言う。
ビン入りインクを吸入して用いる方法専用のもので、後述するカートリッジ式や、コンバーター(吸入器)式のものよりも多くのインクを一度に充填する事が出来る。
万年筆が考案された当初から使われている形式で、現在でも高価格帯の製品を中心に多くのモデルが製造されている。
吸入装置は本体内を負圧にし大気圧でインクを本体内に送り込むもので、ピストン式のもの等様々な方式がある。
使用出来るインクの種類が多い上、インクを出し入れするときに細かいゴミなどを掃除する事が可能である(なお、モンブラン等の一部のメーカーは洗浄成分をインクに混入させている。)
カートリッジ式を採用した製品では、コンバーターを装着しない限りこの掃除機能は望めない。
しかし、後述のコンバーター(吸入器)式に比べると、インクの吸入機構が劣化した場合において、修理に出さなくてはならない場合がある上、ペン内部の洗浄がしづらいといった欠点がある。
コンバーター(吸入器)式
カートリッジ、コンバーター両用式と明記されているものが利用できる。
カートリッジを刺す部位にコンバーターと呼ばれる吸入器を装着し、インク瓶からインクを吸入出来る様にするものである。
カートリッジ装着部に取り付ける構造上の都合から、吸入出来る量はカートリッジ式とほぼ同じか若干劣るものの、基本的には吸入式と同じく使用出来るインクの種類が多く、インク装填時にペン内部を掃除する事が出来る等の利点がある。
そのため、昨今の主流であるカートリッジ式と違い、コンバーター購入等の初期費用が掛かる事が多いが、インクに掛かるコストを考慮に入れると長時間筆記し続けることが多い人には適した方式とも言える。
吸入式に比べ、コンバーターを買い換える事で吸入機構を新しく出来るため、吸入機構が劣化しても修理に出す必要が無く簡単に交換できる点や、ペン内部の洗浄がしやすいといった利点がある。
しかし、吸入式に比べるとインクを保持できる量が少ないといった欠点がある。
最近は、吸入式と違い後述のカートリッジ式と機構を共用できる事から、コスト面からこの方式を吸入式の代わりとして用いているメーカーが増加傾向にある。
カートリッジ式
現在は、インクの補充を簡単に行うため、インクを詰めたカートリッジが広く使われている。
カートリッジの形状は原則としてメーカーごとに異なっており、ペンの製造メーカーから供給されるカートリッジを購入し使用するのが一般的である。
ヨーロッパのメーカーの多くでは欧州共通規格のカートリッジが採用されており、この場合は欧州共通規格を採用する他のメーカーのインクを使用することが可能である。
ただし欧州のメーカーであっても独自規格のカートリッジを採用するメーカーも多く、またペンの種類によって利用可能なカートリッジが異なっている場合もある。また、カートリッジ式の場合、インクに掛かる費用が吸入式の5倍近くになると言われている。
カートリッジ専用(コンバーター不可)の万年筆においてインクにかかる費用を抑えるために、使用後のカートリッジに注射器やスポイト等で瓶のインクを詰めれば瓶のインクを使えるが、カートリッジが劣化した時や、カートリッジの差し込み口が緩くなってしまうと、インクが漏れてしまい危険である。
もちろん、メーカーの保証外行為のため自己責任となる。
また、他社のコンバーターが偶然装着できることもある。
インク止め式
昭和30年頃までは主流の方式であった。
また、海外では同様の構造は見られず、日本独自の方式である。なお、海外のアイドロップ方式とは異なる。
構造は大きく分けてキャップ、首軸、胴軸、尻軸に分かれている。
首軸、尻軸はねじが切られており、首軸を外してスポイトでインクを直接胴軸に入れる方式である。
筆記の際には尻軸を緩めペンを縦に振ってから筆記する。
もしくは、尻軸を完全に緩め、引いた後押し込む。
これによりペン芯にインクが供給され筆記可能となる。
前者の方法では、インクが飛んでしまう事が多い。
しかし、後者の方法では、加減によりボタ落ちを防げる。
また、尻軸を緩めるのは、胴軸の中にあり、尻軸と直結しているエボナイトの棒状の栓を緩め、インクがペン芯に行き渡るようにするためである。
尻軸を閉めている時は、胴軸内のエボナイトの棒がペン芯へのインクの供給路を塞いでいる。
胴軸全体がインクのタンクとなるため、他の方式と比べインク容量は非常に多い。
軸の素材としてはエボナイトまたはセルロイドが殆どである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』